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2022年03月09日

コロナ鍋

(タイトル)書きたいことをどんどん
            
        コロナ鍋

アルファカブも
デルタカブも
オミクロンカブも
島伝統のシンメー鍋(ナ-ビ)に投げ込んで
ぐつぐつぐつ
薬草フーチバーも入れる

途中で腹が立って
森かけそばも
桜の押しずしも
アベカワモチも
スガ秘書持参の隠し味も
キシダメンも 
地位チャーハンも
みんな入れてしまう
ぐつぐつぐつ

異様な色とにおいに吐き気
禍(わざわい)の鍋あふれて
キッチン 滅茶苦茶
なんとか運ぼう キチにきっちり

鍋ごと大陸に帰ってね
守るどころか
ウイルスをまきちらしながら
戦争に引きずり込む
沖縄をまた殺そうとしている
二度とだまされない

大浦湾の海底のドロドロ
ぐつぐつぐつと 
拒否震動 



 この詩にはむずかしい表現は何もなく、ダジャレでふざけています。コロナ名を蕪にかけ、沖縄伝統
のシンメー鍋という大鍋に入れるという発想から、終わりまで、割にスラスラ書きました。政治家への不満、
不条理を食物名にして直接的に入れた詩です。


私の最近の方法は、現実をもとに、書きたいことを書きたいように、あまり考えずに書いています。
実はこの欄には別の詩(「島の息吹」)のことを書くつもりでした。けれども一月二三日の名護市長選
、南城市長選で、オール沖縄の候補者が負けてしまい、がっくりきました。ご承知の通り、辺野古新基
地ストップに関わるとても大事な選挙でした。誰にともなく、自分にも含めて「もーっ!」と毎日怒っ
ています。

それで急に予定していた詩をやめ、政治的なことへの腹立たしい気持ちが出ている一番新し
い作品にしました。詩の専門誌である『詩人会議』の読者の方々の目に触れたらありがたいです。この
詩は『民主文学』四月号に掲載されます。言葉に政治家の名を使って、直接的すぎてばかばかしいと、
壷井繁治氏にも叱られそうです。壷井氏の『政治的であることと文学的であること』の、昔傍線を引い
た文を読み返し、自分は時々読んだ方がいいと思いました。壷井氏の文です。

「今日は最も政治的な時代であり、詩人といえども政治の大きな機構のなかに組みこまれた人間で
あることを否定するわけにはいかない。若しも詩人が詩人であるということを理由に、政治から眼をそ
むけるならば、それは現実の最も重要な部分から眼をそむけることを意味する。詩が政治的であるとい
うことは、その詩に安易に、いわゆる〈政治的用語〉を盛り込むということでなく、今日の現実を根幹的
に動かしているところの、政治機構が織りだす社会のさまざまな模様の裏に潜む本質的意味をさぐりあ
てること、今日の政治によって歪められた人間内部の暗黒的部分や、その意識的な深層部に光りをあて、
それを外部にとりだして、陽ぼしにかけることである。」

先日亡くなられた浅尾忠男氏の『詩人と権力』 も必読書ではないでしょうか。「詩人会議」は現在  
も本当にすぐれた先輩詩人達を持っており、編集部、事務局のおかげで毎月発刊という偉業を続け、
日本の現代詩の流れを作っていると思います。

私の詩は時々「政治的用語」も使ってしまいます。言葉と共に行動が大事という考えが基礎にあり、日
常が平和運動の端の端になっているからです。

又「わかり易くてこれなら自分にも書ける」と言われ、嬉しいです。どんどん書いていただきたいです。詩
は大変自由な表現方法で、詩の中で鳥にも魚にも総理大臣にもなれます。書きたいことを書きたいよう
に、自分の言葉で書けばいいのだと思います。  
           
            (『詩人会議』 2022.4月号、「詩作入門」より)
                 


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Posted by NORIKO at 19:44│Comments(0)エッセイ
 
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