詩人会議 新春号
記憶と声
芝憲子
戦後生まれで
国をこえた反省の時代に
育ったはずだった
学校では
国際連合ができたので
もう戦争は起きないと
教えられた
それがこの惨!
わたしの短い人生のおわりに起きている
戦争の時代
ロンドンにいたとき
パレスチナ人の一家と仲良くなった
「自分たちは難民だ」と悔しがっていた
難民だらけになった世界
またも戦場にというオキナワで
「子どもを殺すな」というボードを
自分の娘と持って立つ
人類が何度も浴びた反省の記憶は
現在のリーダーたちの脳には
しみ込んでいないのだろうか
記憶が
地からわきでる声になり
「子どもを殺すな
NO WAR」
(『詩人会議』 2024.1月号)
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